グッズを利用されているバイヤーさんへのインタビュー企画、第四弾は初のECサイトバイヤーさんです。
数あるECサイトの中で、2022年に公開された「自然派食品の店 モノエル-naturi-」はミドル層を顧客に持ち、関連するコラムが月間1.1万PVを誇るショッピングサイトです。
インタビューでは、大坪幸子代表にECサイトの運営やバイヤーとしての様々な工夫をうかがいしました。
サイト立ち上げのきっかけにもなった自社ブランドへの想い。長く広告業界にいた経験を活かした魅力的なページづくりやSEO対策、買い回りの工夫、お客様との繋がり方、スタッフとの業務分担、仕入れる際に決めているルールなど、盛りだくさんの内容になっています。
【店舗情報】
2019年、株式会社ココリを設立し、ECサイト「ピントグラス正規代理店 shopモノエル」をオープン。自社商品の企画販売に着手し「発酵の知恵 すぐきヨーグルト」の先行販売、公式ブランドサイトの運営を開始。その後、ECサイト「自然派食品の店 モノエル-naturi-」を2022年にスタート。
現在、他に「おしゃれミドル by shopモノエル」など複数のオウンドメディアを5人のスタッフで運営しています。
ECサイトでまず大切なことは、「世界観を作ること」
「自然派食品の店 モノエル-naturi-」では「余計なものは入れない」にこだわった健康食品を多く取り扱っています。
「ECサイトの場合、『うちはこういうお店です』という世界観を作ることが大事だと思っています。うちの場合はからだにいいもの、特に”発酵系”に特化したいと思ってやっています。毎日安心して食べられる心と体に良いものを発信し、皆様の健康のお役に立てるようスタッフ一丸となって取り組んでいます。」
「すぐきはその昔は門外不出といわれた京都生まれの野菜です。漬け込む過程で強い塩分でも生き抜く力強い植物由来の乳酸菌が生まれ、それが日本人の腸にはとても吸収されやすい。そこに、食物繊維が豊富なイヌリンと分解されずに大腸まで到達フラクトオリゴ糖を配合しているので、腸内の善玉菌にも影響し、お腹の健康を支えてくれます」
「今は楽天やAmazonで手軽に買い物できる時代なので、こういった自社の商品や強みがあることはとても大切だと思っています。機会があれば、POP UPイベントなどにも出店しています」
今後もさらに強みを増やすことを目指して、次の商品開発を企画中。
「”すぐきヨーグルト”の次に、飲み物に溶かしたり食事に振りかけるだけで、手軽に乳酸菌が摂れる粉末タイプの乳酸菌サプリ「すぐき乳酸菌パウダー」の販売を昨年3月から始めました。アレルギーフリー、無添加にこだわって作り、1包あたり1,000億個の植物性乳酸菌(SUGUKI乳酸菌SOY-1®)が配合されています。」
「まだまだ他にもオリジナル商品を作りたいですね。次は乾燥糀をやりたいと思っていますが、菌系のOEMはなかなか難しくちょっと足踏みしています。他のものにも目を向けながらいいものを作っていきたいです。」
アイキャッチな入口から出口までの導線の良さ
ページを開くとまず目に入るバナーには、新商品や季節に応じた特集商品が紐づけられています。
自社サイトに力を入れている一方で、購入にはカートから楽天やAmazonなど、他サイトからの購入が選べるようになっています。
「商品の特徴や強み、差別化できるところを打ち出して告知するようにしています。長くインターネット広告業界にいたので、SEO対策、商品ページに載せる商品や見せ方など基本のノウハウは持っていますし、スタッフもそういうクリエイティブに強い人が揃っています。力を入れている商品は商品画像を作り込み、商品がより魅力的に見えるようにサムネイルの順番にもこだわっています」
「自社を強くしたいという想いは常にあるので、送料も安く設定しています。それでもやっぱりモール系は強いですよね。売り上げの半分以上は楽天などでの販売になっています。お客様にとっても、住所の入力が面倒だったり、セールで安かったりするので、どうしてもそちらに行く方が多いですね。」
「ただ、モールショップの中の他店には負けたくないので、自社で見てもらって楽天とかアマゾンで買える流れを作っています。」
自社サイトとモール系ではデザインも情報量も全然違う
「自社は世界観を大事に、すっきりさっぱり分かりやすく。楽天はコテコテ(笑)情報が多いほうが好まれます。自社、楽天、Amazonなどそれぞれで売れるものやセールのタイミングも違うので、担当者を分けてほとんどそれぞれの裁量で進めてもらっています。」
多方向でお客様と繋がるオウンドメディアの存在
ECサイト運営の悩みとしてよく上げられるのが『新規顧客獲得』です。モノエル-naturi-は複数のオウンドメディアを併せて運営し、商品につながる記事を作ることでSEOを強化し継続的に新規顧客を獲得しています。また、3つのオウンドメディアで月間1万PV超えを達成しています。
「SEO対策についてはけっこうやっていて、商品についての記事をよく書いています。取り扱う素材などキーワードを検索するとサイトのブログ記事が検索上位に来るようにしています。」
「他にも『おしゃれミドル by shopモノエル』という、健康や美容、おしゃれに気を使うミドル世代の方向けの情報メディアサイトがあり、そちらでは自社商品に限らず、健康食品に関する紹介や読み物を作っています。」
「メルマガや楽天のLINEなども送りますが、クーポンばっかり出せばいいってものじゃなくて、『こういう季節だよね』とか『薬膳始めてみたよ』とか、読んだ人に刺さるように簡単に読めるもの、ただの広告にならないように意識しています。」
お客様が欲しいもの、買い回れるものを仕入れる
「自然派食品の店 モノエル-naturi-」では、オリジナル商品の他に、グッズで仕入れた商品や直接取引で仕入れているものなど約120のアイテムを取り扱っています。
「色々取り揃えて入れるけど、リソースが少ないので抱えられる商材に限りがあるんですよ。あちこちシステム化もしていますが、何千何万と扱うのは難しい。そのうちに自分たちのバスケットに残ったものがあってそれでお店が形づいてきています。」
「ショップの顧客層は40~50代の女性が中心で、安いものよりも質の良いものが欲しいという方が多いんです。グッズで商品を探す時はユーザーさんが好みそうでなおかつ希少性のあるもの、唯一無二のものを探しています。私が見つけることもあれば、スタッフが見つけてきたものを入れることも多いです。」
「食品をメインで取り扱っていますが、その派生としてキッチングッズなども販売しています。人気の商品を買うついでに購入できて、あると便利なもの。でも100円ショップでは手に入らないようなちょっとこだわったものに限定しています。」
理想的な商品に出会っても、掛け率などの条件が合わない場合は例外なく取り扱いをされていません。
「ECの場合どうしても送料がネックになるので、70%以上の掛け率のものは今のところ取り扱いしていません。他のサイトでガンガン売られているようなもの、賞味期限が半年以下の商品もモールの倉庫管理で切られるリスクが高いので仕入れないですね。」
グッズでの仕入れはトライ&エラーがしやすい
モノエルさんでは、サイトとして限りあるバスケットの中身の商品は厳選しつつ、常に新しい商品も探しています。
「グッズは良い商品がたくさんあるので、ブレないで探すことがポイントだと思います。方針がブレるとなんでもよく見えるので(笑)価格帯も意識しながら、仕事の合間、気分転換に探すこともあります。」
「直接取引で仕入れの交渉をする場合は、先方との間に『仕入れさせてください』『条件はこうだよ』というやり取りがあったり、請求書がどうとか色々発生しますが、グッズで仕入れる場合はそれがない。チャットや管理画面で簡単に進められ、とにかく時間を取られないのであまり躊躇しないで試しに仕入れられます。」
「少ないロットで仕入れられるブランドも多いので、ちょっとごめんなさいだけれど、売れなかったとしても次に注文しなければいいだけだと思える気楽さがあります。」