日本画を描く際に用いられる「岩絵具」は、7世紀ごろ高麗の僧が紙や墨とともに日本へ伝えたといわれている、
主に天然の鉱物を砕いて作る絵具です。
自然が何万年という歳月をかけて作り出した鉱物の色彩は耐久性に優れ、高松塚古墳の壁画や法隆寺金堂旧壁画にも使われた岩絵具はあせることなく美しい色を今に伝えています。
その岩絵具を文字盤に塗り、色を愉しむオブジェのような置時計をつくりました。
粗い岩絵具を均一に塗るのは熟練の技が必要です。
日本画家でもあり、25年以上岩絵具を使い続けているスタッフが、塗りの作業を担当しています。
置時計本体の木の部分は、漆器の産地として400年以上の歴史をもつ、石川県加賀市山中温泉の木地師、久津見龍也さん(伝統工芸士)に作っていただきました。 回転する木に刃を当てて形作る「轆轤(ろくろ)挽き」という伝統の技術で、一つ一つ作られています。
協力:我戸幹男商店
木の素材は欅(けやき)です。
木目が美しく硬いため、古くから家具や建築用材として多様されてきました。
なめらかでしっとりした質感と、流れるような木目をお楽しみください。
岩絵具を塗る下地には、金沢市二俣町で手漉きの和紙を製作している、石川まゆみさんに漉いていただきました。
厚手に漉かれた楮の和紙はとても丈夫なので、粗い岩絵具をしっかりと定着せることができます。
時間を示す12個の点(インデックス)には金沢の金箔を使用しています。
国宝の修復等にも使われ、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている、日本古来の『縁付金箔』です。
金沢の美と技術を結集して作られています。