【 家でも職場でも学校でもないもうひとつの場所 】
きっかけは子どもの頃、父が毎朝出勤するまえに煙草を吸いながらコーヒーを飲んでいて、子どもながらにその背中がいつも辛そうに見えていました。
家族のために働いている父に何かしたいと思い、コーヒーを淹れ始めました。
生まれ育った田舎は、人が少ないが、出会えば、すれ違えば挨拶があり、人との繋がりを感じました。ですが、人が多い都会ではそうではありませんでした。多くの人とすれちがう毎日の中でも関わる人は変わらず同じ。人はつながりを失いつつあり、そんな寂しい時代に生きている。そんな気がする。問題はつながりを失ったことにあるのではなく、その作り方を忘れてしまったことだ。私が大切にしたいのは、挨拶から始まる自然なつながりである。おはよう、こんにちは、こんばんは、と言葉を交わすこと。それは共通の認識があってはじめて生まれるふるまいの一つである。私はそのきっかけを大切にしたく「いらっしゃいませ」とは言わない。挨拶から始まる物語があると信じている。
これを掲げ、コーヒー屋台をはじめ全国をまわることになります。
旅の資金は行き着いた場所で貯め、また旅に出る。をくりかえし、人々と出会う楽しさと反面孤独になることもありました。
私も人々も毎日同じ気持ちではなく、その日によって気持ちや体調も違うと気づき、その日のお客さま、日常に寄り添うコーヒーを届けたい!
出会う人々に家でも職場でも学校でもないもう一つの“自分の場所”を届けたいと思うようになります。
その地で出会った人々の豊かな気持ちや日常の活力になるような珈琲を届け、
珈琲を淹れ続けたいと店舗営業になった今も続いています。