「人生に寄り添う、一匹のバッグ。」
「大量生産、大量消費ではない、これからの生産を考える。」
“企業デザイナーとして発注する側”、“縫製工場職人として発注される側”。それら両サイドの視点から日本の繊維業界を見てきた。それらの経験から、これからの日本発スモールファクトリービジネスと、人々の消費活動について考えを発信したいと考えている。
創業者・大野智幾は、母方の祖父母がバッグの縫製工場、父方の祖父母が鉄工所を営む環境に育つ。幼い頃から、ものづくりのファミリービジネスが身近な存在であった。大学は美術大学のテキスタイル学科に入学し、布を通して一本の糸から布になり、製品が生まれる感動を知る。会社のインテリアデザイナーとして働いたのち、東京都青梅市にある母方家業の縫製工場を手伝う。
祖父母の縫製工場は働く人たちも高齢化しており、自社ブランドを販売するのでなく、下請け工場となっていた。製品を作る技術はあるのに、経営の面を見ると取引先から足元をみられているようにも感じた。しかし一方で、工場だからこそ大きな会社にない良さも感じることができた。お客様の声やオーダーを聞くことができ、製品を届けた時の反応もダイレクトに伝わる。ものづくりの現場だからこそ、お客様と作り手をしっかりと結ぶことができるのだ。利益追求だけが目的ならば、町工場のものづくりは非効率な部分が多くある。しかし、家族や人を大事にし、社会的な人脈を大事にする部分では、今の時代にこそ必要なのかもしれない。
人を大切にするという原点を引き継ぎ、お客様が商品に抱く愛着へと繋げていきたい。