丹後でしか作れない糸を使い、産業を担ってきた女性たちとのものづくり
長年ニットデザイナーをやっていた経験から、糸を見れば「どう編めるか」分かります。ボディウォッシュのアイデアは、創業100年の高級和装織物の丹後ちりめんをつくる工場で、糸の束を見たときに生まれました。
丹後ちりめんの最大の特徴は、湿度の高い丹後の気候風土を生かした糸の撚(よ)りにあります。繊維はそのままでは弱くて使えないので、撚り=ツイストして糸を作ります。普段私たちが着ている洋服では1メートルにつきだいたい200回〜600回程度ですが、丹後ちりめんでは1メートルにつき、2000回〜4000回という、ものすごく多い撚りをかけています。
極細の絹糸は乾燥すると切れやすい。布を織る時の糸も切れやすい。
シルクの布も糸も、乾きすぎるとガサガサになる。
でも丹後では天然の湿度で絹糸の柔軟さがいつも守られている。
どのぐらいの湿度かというと、夏の蒸し暑さはもちろん、秋に枯葉が舞うのはテレビでしか見たことがなく、冬は雪が多く洗濯物が乾きません。この湿度がなければ糸や丹後ちりめんはできないのです。
さらに、丹後の技術で撚糸された糸には天然の絹のタンパク質“セリシン”が残ります。この2つの特徴を活かしたのが『濃いシルクのボディウォッシュ』です。
製品を編むのは丹後在住の70代以上の女性たち。かつて、機屋や養蚕など、地域の産業に関わってこられた方々で、他にも「内職さん」と呼ばれる、陰で産業を支えてきた女性が丹後には大勢います。彼女たちとの関わりを通して、そこも含めての産地であるという気持ちが芽生えました。
今後も、事務所や店舗を持たないなどコストを抑えたビジネススタイルを継続し、作り手の皆様に適正な対価をお支払いできるブランドでありたいと考えています。
ボディウォッシュの糸が作られるところ。