100年以上農薬を使っていない土地から、自然とともにある布づくりを。
私たちが使用する綿は、100年以上前から一度も農薬を使ったことのない土地で育てられています。
その土壌には、農薬も化学肥料も入り込んでおらず、自然のリズムのままに、綿花が静かに育っています。
山東省は昔から、小麦やニンニク、綿の産地。ニンニクを栽培すると虫が寄ってこないことを生かし、ニンニクの裏作で綿を作っています。
使う道具は鍬や鎌など人の手で扱う道具だけ。かつて一度も農薬・肥料を使ったことのない大地で、二十四節気に合わせて農業を行っています。
春に蒔いた種は夏の終わりに花を咲かせ、秋にはコットンボールになります。
収穫して、ゆっくりと時間をかけて紡いだガラ紡糸は、繊維の中心に空気が入りふんわり柔らかい糸に仕上がります。
肥料や農薬を使わず収穫された木綿のよさは、肌に付けた時の心地よさに表れます。
手仕事で作る益久染織研究所の製品は、いわば80%の完成品。
残りの20%は使ってもらう中で段々と味が出てきて肌や手になじみ、時間をかけて完成品になるのです。
写真: 契約農家の畑。自然の恵みと母なる大地の元、6ヶ月かけて綿になる。
収穫された綿は、撚りをかけず、手紡ぎに近い柔らかさを持つ**「ガラ紡績」**で糸にします。
そして、自然の草木で染め、昔ながらの織機でゆっくりと織り上げる――
そうして一枚の布が生まれます。
便利さや速さよりも、「やさしさ」や「確かさ」を。
自然と調和し、心と身体に寄り添う布を、今日もひとつずつ、ていねいに作っています
写真: 糸車のガラガラと鳴る音からガラ紡と呼ばれる「ガラ紡機」。機械紡績では生まれない糸の太さのゆらぎや表情が生まれる。