私のものづくりの原点は、かつて孤独だった時に出会った一匹の猫、「アリス」にあります。
子どもの頃、私は図鑑に載っているふわふわの猫、ヒマラヤンに憧れ、「いつか一緒に暮らしたい」と夢見ていました。
やがて両親の離婚を経て、見知らぬ土地で、ほとんどの時間を一人で過ごすことになります。
そんなある日、新聞の「猫譲ります」の記事を見つけ、母にお願いして猫を迎えることになりました。
そして引き取りに行ったその日、そこにいたのは、子どもの頃に憧れていたヒマラヤンのような毛色をした子猫でした。
それが、アリスです。
仕事で家を空けることが多かった母に代わり、いつも私のそばにいてくれたのがアリスでした。
彼女は単なる猫ではなく、かけがえのない大切な存在でした。
一緒におやつを食べたり、遊んだり、散歩に出かけたり。どんな時も、私のそばにはアリスがいました。
年老いて体が不自由になっても、私が帰宅すると、必ず玄関まで迎えに来てくれました。
「アリスがいつも私のそばにいてくれたように、その存在を身近に感じられるものを作りたい」
そんな想いから、私の制作は始まりました。
作業の場は、特別な工房ではなく、自宅の小さなキッチンテーブルです。
最初は、絵を描くような感覚で、かわいい猫を作っていました。やがて、よりよい仕上がりを求めて、素材や道具を実際に試しながら、試行錯誤を重ねました。猫らしい毛色や表情を革の上に表せるよう、染料や色の重ね方にも工夫をしています。
今では、この小さなテーブルから生まれた猫たちが、海を越え、世界中の猫を愛する人たちのもとへと旅立っています。
それぞれの心の中にいる大切な猫が、かつてアリスが私にしてくれたように、私の作るものを通して、あなたの日常にそっと寄り添い、小さな幸せを運ぶ存在になれたら、これ以上の喜びはありません。