【パレスチナ最後の石鹸工場】
ナーブルスソープは、パレスチナに千年以上受け継がれてきた伝統石鹸です。かつてナーブルスの街には30軒以上の石鹸工場があり、世界へと石鹸を輸出していました。しかし度重なる戦火や災害によりその数は激減し、現在、輸出に対応できる工場は「ナーブルスソープカンパニー」1軒だけとなっています。
この工場は1611年創業、400年以上の歴史を誇り、経営するのは著名な石鹸一族トゥベレ家。
石鹸を切り出す職人「トゥベレ」という言葉の語源にもなった一族で、代々その技術と誇りを守り続けています。
ナーブルスの石鹸産業は10世紀から繁栄し、ヨーロッパ王侯貴族にも愛されてきました。しかし、1927年の大地震による旧市街の壊滅や、20世紀以降の占領と戦火によって多くの工場が失われました。今なお厳しい状況の中、職人たちは伝統的な窯焚き製法を継承し、世界へ石鹸を届け続けています。
そして忘れてはならないのが「オリーブの木」の存在です。
オリーブはパレスチナ人の暮らしを支える命の木であり、石鹸の命ともいえる原料です。
しかし入植者による破壊や収穫妨害、放火などで畑が荒廃し、原料の確保さえ困難になっています。
それでも職人たちは希望を失わず、石鹸作りを通じて平和と文化を未来へつなげています。
2024年12月、この伝統はユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
ナーブルスソープは、オーガニックかつクルエルティフリー(動物実験を行っていない)で、敏感肌や乳幼児にも使用できます。
単なる石鹸ではなく、歴史と平和を伝える「物語のある製品」です。