カットしていないホールタイプのクランベリー。噛めばクランベリーの酸味が口に広がる。 日本では栽培されていない小さな赤い果実です。 日本ではなじみの薄いクランベリーは、ヨーロッパや北アメリカの寒冷地に生育するツルコケモモ属の小果樹。アメリカ北部の湿地帯に住むインディアンたちは、ずっと古くから野生のクランベリーを「ササイネッシュ」と呼び、砕いた果実とドライな鹿肉や脂肪を混ぜ丸めた「ペミカン」という保存食を持ち歩いていました。頭痛薬と染料に欠かせない果実でした。 クランベリーという名前は、7世紀にアメリカに渡った植栽者たちが、赤い花の茎が、鶴の頭と首のように見えることから「鶴の実」、英語で「クリアン・ベリ」と名付けたことからクランベリーになったといわれます。果実は、鮮やかな赤い色で、直径1㎝ぐらいの大きさです。酸味と渋みが強いので、ジュースやジャム、ゼリーやパイ、ケーキなどに使い、感謝祭やクリスマスの七面鳥料理に必ず添えられる真っ赤なソースは、各家庭オリジナルのクランベリーソースです。 尿の臭いを抑えるエチケット果実 1977年フィラデルフィア薬化大学のマルデロシアン博士は、クランベリーが大腸菌によるアンモニア臭の放出を抑制することは、明らかであると結論づけています。日本では、クランベリージュースをいち早く商品化したのは、キッコーマンです。同社の報告では、果汁濃度50%の「クランベリーUR」を使い1992~1993年にかけて人工膀胱を装着している4人にアンケート調査を行った結果、飲用者の74%が何らかの効果を感じ、尿臭に関しては、60%が軽減感じていると報告されています。高齢化社会に向けて、クランベリーは寝たきりの人、失禁のためにおむつを使わなくなる人、人工膀胱を装着している人などの臭気を解消できる可能性を持っています。また、抗酸化物質ポリフェノールの仲間の体内吸収のよいアントシアニンとカテキンが含まれ、1996年、イリノイ大学のボムサー博士はクランベリーから分離したアントシアニン前駆体に抗ガン作用を確認しています。ジュースばかりでなくクランベリーの健康効果を丸ごととるものがありますドライクランベリーは、超高齢化へ向かう日本にとってなくてはならない機能性果実のひとつではないでしょうか。スッパ好きの方におすすめですよ。