【スピール専用】3つの味のコーヒーフィルター "喫茶巡りパック” 各種1枚・計3枚入り
「喫茶店を選ぶように」
喫茶店は好きなのに自分で淹れるのはどうも好きじゃない。。。
そんなお家珈琲の時間を、楽しく美味しい時間に変えたい。
喫茶店に入るワクワクを、お家珈琲にも。
---- Prologue ----
最古の滴下式抽出法と言われるネルドリップの歴史は、常に喫茶店と共にありました。喫茶店には表現したい珈琲の味に合わせてネルフィルターをオーダーメイドする文化があり、豆や焙煎だけでなく器具からも味作りを行い、「地域の喫茶店」「地域の味」を作り上げてきました。
そんなこだわりも、個人経営の喫茶店の減少に伴い無くなりつつあります。スピール専用ネルフィルターは地域性を表現した3種類をラインナップ。後世に残したい貴重な文化をご自宅でも体験していただけます。
喫茶店を選ぶようにネルフィルターを選ぶ、古くて新しい珈琲体験をぜひお楽しみください。
---- 「地域の味」を作り出してきた喫茶店の凄み ----
明治時代まで遡ると言われる日本のコーヒーの歴史。輸入農産物であるコーヒー豆は、当時決して品質の高いものではありませんでした。そんな状況でも各地の名マスター達は地域のサロンとしての役割を果たしながら、満足できる味わいを提供すべく研鑽を続けました。
そのひとつが「オーダーメイドのネルフィルター」です。
---- 日本のコーヒーを支えてきたプライド ----
要望に答え続けるネルフィルターというものづくり。
オリジナルのネルフィルターが求められた理由は単純で「味が変わる」からです。豆での差別化が難しい時代に抽出法で味が変わるということは。。。その重要性はお分かりいただけると思います。
そんなオーダーメイドの要望に答え続けていたのは、当時全国各地に点在していた繊維会社です。味の変化をもたらす要素は形状・素材・起毛など多岐に及び、さらに味だけでなく各店舗のワークフローに合わせたものでなければなりません。
まさに二人三脚での味作りの積み重ねが現在の日本固有のネルドリップ文化を作ってきたと言えます。
---- ネルドリップの醍醐味とは ----
現在では豆の品質も抽出方法も当時とは状況が違いますが、今でもファンの多いネルドリップの味わいとはどんなものなのでしょうか?
一般的に言われる特徴としては、「ペーパードリップよりもこってりする」「舌触りが良くなる」と言われます。「深煎り豆を点滴で低温長時間抽出する」というイメージの方も多くいらっしゃいます。
様々特徴や楽しみ方はあると思いますが、家庭で楽しむネルドリップの醍醐味について、私は「自由さ」だと思っています。
オーダーメイドのネルフィルターとドリップ式を組み合わせると、お湯と豆を触れさせる選択肢は大変広くなります。だからこそ多くの喫茶店がネルドリップでの差別化を実現したのだと思います。
すぐに答えを求める今の時代には贅沢かもしれませんが、ゆっくり付き合って自分の好きなコーヒーに少しずつ近づいていける。そんな魅力がネルドリップにはあるのではないでしょうか。
---- 喫茶店の減少とともに失われていくもの ----
近年個人経営の喫茶店は大きく減少し、ネルフィルターを手掛ける技術や理解を持った繊維会社も数少ない状態になっています。
長く積み重ねられてきたネルドリップを取り巻くコーヒーのノウハウは既に日本固有の文化と言えると思います。ネルドリップでしか紡げない世界、多くの先人たちが生み出してきた世界があります。
様々なコーヒーの楽しみ方がある現在ですが、古くて新しいネルドリップの世界に触れる方が増え、「誰かが美味しいと言ったコーヒーじゃない、自分の好きなコーヒー」を見つける方が増えたら嬉しいなと考えています。
一歩踏み出して、気になっていたお店の焙煎士さんに「おすすめの豆はなんですか?」と尋ねてみてはいかがでしょうか。
---- 京都六曜社珈琲店店主・奥野薫平氏によるレビュー ----
>名古屋式
「おそらく万能型であろうこの名古屋式は生地側を基本外面に使用するタイプで、起毛側を内面に設けるので、少しの差ですが抽出時にある程度濾過されてからコーヒーの液体として落ちていくので、ブレも少なく安定した抽出が可能になると思います。名古屋式の生地側自体は程良く、コーヒー豆の量や挽き目にお湯の温度の好みも反映させつつ“王道”的なコーヒーをドリップで抽出する上での楽しみ方のバリエーションと共に味わいを演出出来る点が誰にでも好まれだろうネルなのかな?と思いました。」
>東京式
「実は僕の中では一番馴染みのある使用感のネルでした。要するに起毛側を外面に向ける東京式は、僕のイメージで言うと、繊細かつクリアに抽出出来る感覚があり、いつもあえて起毛側を外面にして抽出しているからです。生地側が内側にくる分 抽出されていくコーヒーがダイレクトに落ちつつ起毛側で濾過される順番なので、良きも悪きもコーヒー豆本来の味わいや抽出技術が反映され、コーヒー豆の量や挽き目にお湯の温度などの様々な好みの思考や嗜好を“遊び心”を持って楽しめる要素があると考えれるからです。個人的な意見としては一番幅の広がるネルの抽出法はこの東京式だと思います。」
>大阪式
「名古屋式同様の仕様ですが、生地側を外面に向けて使用し網目が細かいだろう布地は濾過されながら液体として落ちるまでの時間に多少留まりながら抽出されると思いますので、何より味わい豊かに、イメージとして凝縮されたコーヒーを抽出出来る“玄人”路線の形態になるかと感じます。逆に言うと抽出スピードに左右されず、ある程度ゆっくりとお湯がコーヒーの粉を通って液体へと結びつくので、コーヒー豆の個性を技術云々を選ばず抽出出来る利点もあるかもしれません。無駄な雑味もきめ細かい生地の編み目の作用で削ぎ落とせるので、クリアかつ味わい豊かなコーヒーを演出出来そうです。」
>総評
「一見並べれば何も変わらないネルの中にもその布生地や裏表だけで表現を変えることの出来る楽しみは、まさにコーヒーの奥深さをより広げると共に、自分色のコーヒーを表現・演出したい方には打って付けかと思います。
また、自分の手で淹れるドリップという作法はやはり、自分や誰かのタメに淹れるコーヒーとして思いを馳せるだけでなく、その場所や空間を大事に感じさせてくれるだけでなく、その時間をさらに大切に思える価値も生んでくれると思いますので、身近にあって、気軽になったとしてもその“特別感”をいつもの何気ない時間や場所に加える事が出来るのではないでしょうか?
少しの手間がかかるかもしれないネルに親しみを持ってもらえることも嬉しい事ですし、何よりその少しの手間が、よりコーヒーを楽しくする要素や美味しくするヒトトキになると実感してもらえたらと思います。
今回のsuzugamaさんからのご提案は布生地にありましたが、更に言えば丸形や楕円形などネルの形状でもまた味わいの演出をよりグッと魅力あるものに展開することが出来るはずです。その奥深さを探究したい方はどんどんその沼にはまり込んでいってもらえたらと思います(笑)」
---- メッセージ ----
この度はご覧いただきありがとうございます。スピール開発者のsuzugamaの鈴原と申します。ここでは開発者視点で少しめんどくさい(?)お話をしたいと思います。
コーヒーの抽出は当然といえば当然なのですが、「豆に対してお湯(または水)がどう触れるか」をコントロールすることです。言葉にするとシンプルですが、実際の抽出している間にはフィルターの中ではいろいろなことが起きています。まずは変数を抜き出すことから始めました。
抽出への影響としては蒸らしの強弱、湯抜け速度、目詰まり、コーヒーオイルの透過量などなど。。。そして変化の要因となる布地については、糸の素材、織り、起毛の裏表など。。。両者の組合わせおよそ45項目。そしてそれらを実際使ってみた時、ある程度の期間使った時に味や使い勝手の変化のデータを取りました。もちろん他の抽出法との比較もです。
こう聞くと壮大(?)というか訳がわからない(笑)と思いますが、実際は美味しく使いやすいフィルターであればよく、やはり毎日何杯もコーヒーを淹れるプロの方々は、感覚的にどんなフィルターがいいのか掴んでいらっしゃって、オーダーメイドでのご要望ではご意見がまとまって出て来ています。奥野さんのレビューを読んでいただければお分かりいただけるかと思います。
スピールはご自宅用のドリップセットなので、フィルターによって味や使い心地の差異が出来るだけ大きい組み合わせを選んでいます。かなり分かりやすく好みが別れるのではと思います。
しかしご家庭でコーヒーを楽しむ時間というのは、淹れる時間から、その前のコーヒー豆を選ぶ時間から楽しむ趣向的な楽しみかと思います。まずはネルドリップのバックグラウンドを知ったり、気になっていた喫茶店に行きたくなったり、焙煎士さんに話しかけてみたりと、新しい楽しみを知るきっかけをご提供したいと考えています。
そのためにはフィルターだけでなくドリッパーなどのライフスタイルに関わる総合的なデザインが欠かせません。使わなくなってしまっては元も子もないからです。今後も楽しいご提案を続けていこうと思っています。お付き合いよろしくお願い致します。