リサイクルが難しいエアバッグの現実…
全ては、エアバッグ開発技術者との出会いから
米国、中国に次いで、世界第3位の自動車保有国である日本。国内の約7,800万台(2019年)の自動車のうち、エアバッグが作動するのは10%に満たないと言われています。自動車部品が厳格に分別されて90%以上がリサイクルされるにもかかわらず、エアバッグやシートベルトは再生されずにシュレッダーダスト(※)として廃棄処分されているのが現実です。
廃棄のため切り取られたエアバッグをはじめて触ったとき、とにかく“何かはじめたい” という気持ちが湧きあがりました。エアバッグが作動しなかったこと、すなわち、事故に遭わなかったことは最も重要なことですが、最後は捨てられてしまうというもどかしさ…エアバッグ技術者の複雑な思いが、同じ作り手として胸に刺さりました。また、人知れず人命や環境のために働く姿勢を、純粋に「カッコいい!」と感じました。
難しい仕事になると想像はついたけれど、これまで培ってきたファッションの技術とそのノウハウを、新しい時代のために今、チャレンジしなければ!と動き始めたのです。
エアバッグが作動することなく、車を降りることができる。
気にもとめないこのことは、とてもありがたいこと。
私たちの快適な移動と安全を支え、人目に触れることなく消えてきた廃棄エアバッグのセカンドストーリーには、大きな意義があると思っています。
“廃材でファッションを表現する!”
私たちは、これを未来に向けた一つの “実験” と考えています。
※シュレッダーダスト(破砕屑)とは...
廃棄された自動車や家電などは工業用シュレッダーで粉砕し、鉄・金属などの再利用資源を回収した後に残る、産廃として捨てられる混合物。廃棄自動車シュレッダーダストは、車重量の約20%の割合で発生しています。