鹿児島県の最南端に位置する枕崎。
その市街地からさらに車で15分の場所に、古びた郵便局の跡地がありました。
かつてこの地は、薩摩藩の島津家を支えた三大金山の一つとして栄え、遊郭もありました。遊郭の近くには、遊女に会おうか迷う「迷い橋」と呼ばれる橋もあったと言われるとてもミステリアスな地域です。
その地に鹿籠金山郵便局は1903年に建てられました。1981年、老朽化に伴い閉局した後、約30年余り空き家の状態が続いた2020年の夏のこと――。
「壊されるくらいなら誰か買い取って何かしませんか?」
趣ある郵便局跡地の写真と共に呼びかけれた物件情報は、瞬く間にあらゆる記事で取り上げられました。
「この建物は残したい」
その郵便局の姿を見た瞬間、下園薩男商店三代目薩男は、その声に手を挙げます。
「今あるコトにひと手間加え、それを誇り楽しみ、人生を豊かにする」ことを胸に、北薩の資源にひと手間加えてきた会社が南薩へと手を伸ばしました。
そして、2022年の9月、【山猫瓶詰研究所】として郵便局は生まれ変わります。
地域の伝統・文化・食を後世に継いでいく。
継いでいくことで、地域らしさが残る。その地域らしさにひと手間加えることで、それはより独自性を持つ。その確固たる地域らしさに誇りを持ち、地域に住む人々それぞれが関わることで、いつしか、存在意義を築き、自分らしさにも繋がっていく。
これまで繋いできた地域らしさを後世に継ぐことで、世界はより豊かになると信じて、山猫瓶詰研究所は南薩摩の地にひと手間加えて取り組んでいきます。