一度も農薬・肥料を使っていない大地での自然栽培
普通のオーガニックコットンは3年以上無農薬・無化学肥料で栽培した農地(有機栽培と言います)を使い収穫する綿のことです。
山東省は昔から、小麦やニンニク、綿の産地。ニンニクを栽培すると虫が寄ってこないことを生かし、ニンニクの裏作で綿を作っています。使う道具は鍬や鎌など人の手で扱う道具だけ。かつて一度も農薬・肥料を使ったことのない大地で、二十四節気に合わせて農業を行っています。
春に蒔いた種は夏の終わりに花を咲かせ、秋にはコットンボールになります。収穫して、ゆっくりと時間をかけて紡いだガラ紡糸は、繊維の中心に空気が入りふんわり柔らかい糸に仕上がります。肥料や農薬を使わず収穫された木綿のよさは、肌に付けた時の心地よさに表れます。手仕事で作る益久染織研究所の製品は、いわば80%の完成品。残りの20%は使ってもらう中で段々と味が出てきて肌や手になじみ、時間をかけて完成品になるのです。
写真: 契約農家の畑。自然の恵みと母なる大地の元、6ヶ月かけて綿になる。
オーガニックという言葉は、「有機の」「農薬や化学肥料を使わない」のほかに“本来の”“自然に即した”という意味があります。 それは“昔ながらの”というように、特別なことではなく、はるか昔から行っていることを綿々と続けている、ただそれだけなんです。
生産者にも自然にも無理のない、サスティナブルで長くつきあえるモノづくり。ほんの百年ちょっと昔の人があたりまえにやってきたことを見習って、 糸と布のモノ作りを続けていきます。
写真: 糸車のガラガラと鳴る音からガラ紡と呼ばれる「ガラ紡機」。機械紡績では生まれない糸の太さのゆらぎや表情が生まれる。