インドカレー、欧風カレー、タイやマレーシアのカレー、スリランカカレー、そして大阪を中心に全国で大ブームな創作系のスパイスカレー。一口にカレーと言っても様々なジャンルがあります。その中で、私たちがもっとも親しんでいながら、大きな変化や進化を見せていないのが、ニッポンのカレーです。
明治維新のころにイギリスから黒船に乗って日本にやってきたカレーは、当初は富裕層しか食べられない高級でハイカラな食べ物でした。それが、日本のスパイスメーカーの努力により日本全国に一般的な家庭食として広まり、誰が作ってもおいしく安心感のある家庭のごちそうとなりました。
お母さんが作ってくれたカレー。
我先にとお代わりを争った給食のカレー。
部活後のガッツリ飯としてのカレー。
一人暮らしで初めてつくった自分のカレー。
忙しい仕事の合間の束の間の休息になってくれた町場のカレー。
息子が、娘が初めて作ってくれた料理としてのカレー。
ニッポンのカレーライスには、そんな色んなストーリーが溶け込んでいて、誰が作ってもおいしく、安心感のあるソウルフードであり、食文化です。
そんなニッポンのカレーを、日本特有の食文化であるお出汁のニュアンスで、ちょっと新しく。単にカレーにお出汁を加えるだけではなく、口に入れた瞬間のファーストインパクトが「出汁!」というくらいの、出汁を主役にしたカレーを世の中に投げかけてみたいと思い、このカレーをつくりました。
いつものカレーライスとちょっと違う楽しさと驚きを、日常の食卓にお届けできたら幸いです。