熟練の職人技が光る三段ヤスリ目立てが自慢。
爪ヤスリの素材は、約1㎜の薄いステンレス板。
そこに「たがね」と呼ばれる鋼を打つことで爪ヤスリの刃を一本一本を立てていきます。
この刃を立てる工程を「目立て」と呼びます。吉田ヤスリ製作所では目立て機を用いて一本ずつ手作りで目を立てています。
職人はたがねを研ぎ、目立て機の強弱を調整し、ヤスリの刃をステンレス板に等間隔に打ち込みます。
目立てはステンレス材に対して、斜め左右方向と水平方向の計3回(3段目立て)、これを表裏両面、計6回行います。
たがねは目を立てるごとに磨耗していくので、その都度たがねを研磨し直し、調整を繰り返します。
たがねが水平に研げていなかったり、目立て機の強弱のバランスが狂うと、ヤスリ目は均等にできあがりません。
職人は目、耳、目立て機の振動、ヤスリ目の触感を頼りに、一本一本作業を行います。
その3段が交差することで点が生まれ、その点が爪の細かな繊維をしっかりとキャッチします。
爪が逃げずにヤスリ面に沿うことで、負担をかけずに爪を滑らかに削ることが出来るのです。
等間隔に同じ深さに整然と打ち込まれたヤスリ目は、熟練の職人でしか成しえない技の粋です。
見た目も美しく、使い心地も抜群です。